ハイデッゲル教授の想い出

最近、朝日新聞でも、大澤真幸氏がハイデガーと書いていましたが、-gg-と書いてある以上、「ッグ」と読むに決まっています。ハイデガーと読んでいる人たちはドイツ語ができない、というのが私の持論です。では、「ゲル」は？と問う人たちもいるでしょうが、当時語尾のrの母音化が進んでいなかっただけのことです。ハイデッゲル教授に習った三木清さんも「ハイデッゲル」と正しく読んでいるし、わが師、川原栄峰の博士論文を本にしたものも、『ハイデッガーの思惟』（理想社）の７００ページを超える大著です。まあ、気力のある方は挑戦してみてください。入門者には『哲学入門以前』（南窓社）をお勧めします。参考文献は一部の古典を除いて古くなりましたが、本文は色褪せるところがありません。やっと『思い出』。当時国家社会主義ドイツ労働者党（蔑称：ナチス）に脅威を感じていた哲学者たちは芸術論に逃げたのではないか、という説。これは初めて聞いたような気がします。ハイデッゲル教授は、「逃げて」芸術論に行ったのかなあ。私はカンティアンなので分かりません。専門家の関口浩先生に聞いてみよう。面白かったのは、最後にハイデッゲル教授が立ったまま、読書や書き物をしていたこと。これは、私を含めて、現在もやる人が少なくないですが、なかなか良いですよ。もう一つ。戻ってハイデッゲル教授の講義。これはすばらしいものだったそうですね。「ハイデガー」と筆記する、故・木田元先生が書いておられました。